今回は熊本市と岡山市をデータと中心市街地から比べてみようと思います。
両都市とも政令指定都市で人口規模もほとんど同じですが、各都市の違いも見えてきたのでぜひ最後までお楽しみください!
データ
では最初に両都市のデータを比べてみます。
まず基礎データです。
熊本市 | 岡山市 | |
人口(2020年) | 738,865人 | 724,691人 |
将来の推計人口(2050年) | 648,196人 | 634,367人 |
面積 | 390.32平方km | 789.95平方km |
可住地面積 | 327.06平方km | 441.11平方km |
可住地人口密度 | 2259人/平方km | 1643人/平方km |
現在の人口はほとんど変わらず、将来の推計人口もほとんど差がありません。ただ面積には大きな開きがあります。
岡山市は山が多いので可住地面積になると差は縮まりますが、それでも可住地人口密度は一回り熊本市の方が高いです。どちらかというと熊本はぎゅっと詰まっている街、岡山市は点々と広がる街と言えるでしょう。
続いて経済・産業に関するデータです。
熊本市 | 岡山市 | |
工業製品出荷額等 (2021年) | 43,041千万円 | 101,272千万円 |
小売・卸売商品販売額 (2021年) | 232,627千万円 | 303,568千万円 |
納税義務者一人当たりの所得 (2023年) | 338.4万円 | 351.9万円 |
最低賃金 (2024年) | 952円 | 982円 |
工業製品出荷額等は2倍強、小売・卸売商品販売額は1.5倍ほど岡山市が上回っています。
納税義務者一人当たりの所得や最低賃金も岡山市の方が上なので、経済・産業は岡山の方が栄えていると言えるでしょうか。
続いて両都市の居住期間を見てみましょう。
熊本市 | 岡山市 | |
出生時からの居住者の割合 | 8.23% | 9.36% |
20年以上の居住者の割合 | 25.68% | 27.97% |
それほど差がありませんが、出生時からずっと住んでいる人と20年以上住んでいる人、どちらも少しだけ岡山市の方が多いです。経済、商業が比較的強いのがその理由の1つだと言えるでしょう。
(もちろん岡山も、大阪や東京に行く人が多いですが…。)
データの最後に気候を比べてみます。
熊本市 | 岡山市 | |
年間平均気温 (2020年) | 17.2℃ | 16.0℃ |
年間降水量 (2020年) | 2017.6mm | 1028.6mm |
年間日照時間 (2020年) | 1968.2時間 | 2041.4時間 |
熊本市に南国というイメージはないですが、やはり九州なので気温は高いです。
岡山は晴れの国、降水量が少ないのはイメージ通りです。ただ日照時間はそれほど差がありません。岡山は晴れの国というより、雨が少ない国なのかもしれません。
繁華街
次に両都市の繁華街を比べてみます。
熊本市
こちらは熊本市の中心商店街の下通りアーケードです。長くアーケード街が続き、通りの幅員も非常に広いです。お店も非常に多く、COCOSAやカリーノ下通りなど小型のショッピングモールも通りに建てられています。
ショッピングモールだけではなく、老舗の百貨店鶴屋もあり政令市の威厳をガッツリと感じます。
下通りと道路を挟んで反対側には上通りアーケードが伸びています。
両アーケード街が熊本市の中心商店街、そしてその付近が熊本市の繁華街です。雰囲気は非常に華やかで、活気溢れています。熊本の流行の最先端はここにあると言ってもいいでしょう。
道路には路面電車も走っており、各方面からのアクセスも便利です。
また繁華街の近くにあるサクラマチクマモトは2019年にオープンした大型複合施設です。
映画館やホテルなども入っておりバスターミナルが併設されているのが特徴です。こちらも非常におしゃれで、新しい熊本のランドマークです。
岡山市
こちらは岡山市の中心商店街、表町商店街です。
表町はアーケード街が一直線に長く続いています。通りはお店や人通りも比較的多いですが、熊本市と比べると道の幅員はあまり広くないです。
またあちらには非常に華やかな雰囲気がありましたが、こちらはどちらかというと落ち着いた雰囲気であり、流行の最先端という感じではありません。
表町にも百貨店、天満屋百貨店があります。
天満屋は岡山に本社がありますが、地方の百貨店としては規模が大きく県内外に多くの店舗を出しています。
天満屋にもバスセンターが併設されていますが、バスターミナルがあるサクラマチクマモトと比べ歴史を感じる施設です。
表町に天満屋以外の商業施設はありませんが、シンフォニービルという総合施設があります。
地上12階、地下2階建てでお店も少し入っていますが、コンサートホールやオフィスなどが中心です。
今まで見てきた中だと繁華街は熊本市の方が華やかで新しい施設も立っていると感じますが、表町にも新しい文化施設岡山創造劇場ハレノワがあります。
2023年にオープンしたもので大劇場などが入っており岡山の新しい文化の中心、また表町を賑やかにする起爆剤として期待されています。
表町も路面電車でアクセスできますが、路面電車自体は熊本の方が路線距離が長く充実していると言えます。
ただ駅から繁華街の距離は熊本が約2km、岡山が約1kmと岡山の方が短いです。
中心駅
では次に、両都市の中心駅を比べてみます。
熊本市
熊本市の中心駅はこちら、熊本駅です。
九州新幹線、鹿児島本線、豊肥本線、三角線の列車が乗り入れます。
駅前には商業施設アミュプラザ熊本、駅構内には肥後よかモン市場がありますが全体的には落ち着いた雰囲気です。
駅周辺は近年開発が進んでおり、熊本市の新都心でもあります。繁華街が華やかな分、駅と駅周辺は政令市にしては落ち着いていると言えるでしょう。
岡山市
岡山市の中心駅はこちら、岡山駅です。
岡山駅には山陽新幹線、山陽本線、瀬戸大橋線、宇野みなと線、津山線、吉備線、赤穂線、伯備線の列車が乗り入れます。
熊本駅の乗り入れ路線は4路線でしたが、岡山駅にはその倍8路線からの列車が乗り入れます。
また特急列車も非常に多く新幹線か特急で中四国地方全県へ乗り換えなしでアクセスできます。熊本も立地自体は九州の真ん中ですが、熊本駅に岡山駅ほどのターミナル機能はないと言えるでしょう。
また岡山駅周辺は繁華街としても栄えています。駅ビルさんすて岡山、地下街一番街、商業施設イコットニコットなどがあります。さらにイオンモール岡山は日本有数の規模で、日々多くの人で賑わっています。
繁華街は熊本の方が華やかで賑わっていましたが、駅と駅周辺は岡山の方が充実し賑わっていると言えるでしょう。
観光スポット
続いて中心市街地の観光スポットも少し比べてみます。
熊本市
両都市ともお城と庭園があります。
熊本市の観光の中心は言わずと知れた熊本城です。
肥後熊本藩は石高54万石であり、九州では鹿児島藩に次ぐ規模でした。
2016年の熊本地震では大きな被害を受けましたが、現在は特別見学通路を歩き城内を眺めながら天守閣へと向かうことができます。
熊本城は非常に多くの国内外からの観光客で賑わっています。
少し離れた場所には水前寺成趣園という庭園があります。
1632年、肥後細川家の初代熊本藩主忠利が御茶屋を建てたのが始まりです。その後、三代目綱利の時に庭園が完成します。
お城・繁華街と離れた場所にあるからか、こちらは落ち着いています。
岡山市
続いて岡山市のお城と庭園です。
岡山藩の石高は31万5千石でした。
熊本藩より一回り規模は小さく、城内も熊本の方が広いです。
2023年の来場者数は熊本城は約135万人、岡山城は約44万人とこちらは熊本城が桁違いに多いです。
ただ岡山城の隣には日本三代庭園の一つ後楽園があります。1687年に岡山藩2代藩主池田つなまさが作らせた庭園です。
熊本の成趣園の方が少しだけ歴史が長いですが、お城・繁華街に近いこともあり庭園は岡山の方が賑わっています。
ただ全体的に熊本城が強すぎるので、観光は熊本の方が盛んだと言えるでしょうか。しかしそれは市単体をみた場合で、岡山市の隣には一大観光地倉敷市があることも考えなければなりません。
おわりに
というわけで今回は熊本市と岡山市のデータと中心市街地を比べてみましたが、市全体、引いては都市圏全体をみてみるとまた違う視点があるかもしれません。
両都市の繁栄を願い、本記事を締めようと思います!